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コンクリート用語辞典


調査・診断関連

□ マイナー則
直線被害則ともいわれ、ある応力振幅の実繰返し回数niとその応力振幅での疲労寿命Niとの比が被害度を表すとし、それらの総和が1.0に達すると疲労破壊するという、疲労の蓄積に関する被害則。
∑ni/Ni=1.0

□ 疲労強度
一般の疲労試験では200万回程度の繰返し回数に対して破壊を起こさない最大の応力度。
コンクリートの200万回圧縮疲労強度は圧縮強度の約60%程度

□ ペシマム現象
アルカリ反応性骨材と非反応性骨材の両者の混合比が、ある特定の値の場合にコンクリートの膨張量が最大となる現象

□ アルカリ総量
アルカリ総量の計算方法はJIS A 5308(レディーミクストコンクリート)附属書6(規定)「セメントの選定等によるアルカリ骨材反応の抑制対策の方法」に定められている。
Rt=(Na2Oeq/100)×C+0.9×Cl-+Rm
Rt:アルカリ総量(kg/m3),Na2Oeq:セメント中の全アルカリ(%),C:単位セメント量(kg m3),Cl-:コンクリート中の塩化物測定によって得られる塩化物イオン(Cl-量)(kg m3),Rm:コンクリート中の混和剤に含まれる全アルカリ(kg m3)

□ クリープ係数
クリープひずみの弾性ひずみに対する比率
クリープ係数φ=εc/εe 
εc:クリープひずみ εe:弾性ひずみ

□ クリープ
持続荷重が作用した時、時間の経過とともにひずみが増大する現象
まず、載荷時に載荷時弾性ひずみ①を生じ、定荷重を持続載荷するとクリープひずみ②を生じる。そして、ある時間後に除荷すると除荷時弾性③ひずみが回復し、時間とともに回復クリープ④が生じる。最終的には非回復クリープ⑤が残る。

□ プラスティック収縮ひび割れ
夏場などにフレッシュコンクリートの表面が乾燥を受けて表面部分に大きな乾燥収縮が起こり発生するひび割れ

□ 乾燥収縮
・乾燥収縮とは、硬化したコンクリートが乾燥によって長さまたは体積が減少することでメカニズムとしては毛細管張力説が有力である。
・毛細管張力説とは、コンクリート中のセメントペーストの細孔に残留している余剰水が蒸発し、余剰水が細孔中の細い部分に後退するにつれ表面張力が大きくなるためにために収縮するという説。
・乾燥収縮を小さくするには
①単位水量,単位セメント量の低減
②混和材料(膨張材や収縮低減剤など)の使用
③十分な湿潤養生を行う。
④石灰石岩など収縮量の小さい骨材を使用する。
などがあります。

□ 自然電位法
・得られる情報・・・測定時における内部鉄筋の腐食の可能性または腐食活性域
・コンクリート表面の電位を基準となる照合電極と電位差計(=電圧計)で測定する。鉄筋が腐食しているアノード部の電位は卑側に変化するため腐食状況に応じて変化する電位を測定することにより鉄筋の腐食推定を行うもの
・本手法は、腐食によりかぶりコンクリートにひび割れが発生するまでの、コンクリート構造物が腐食劣化するまでの初期段階に有効です。

□ 分極抵抗法
・得られる情報・・・測定時における測定点直下にある鉄筋の腐食速度
・コンクリート表面に当てた外部電極から内部鉄筋に微弱な電流を流した時に生じる電位変化量から腐食速度を求める。我が国では交流インピーダンス法や交流矩形波電流分極法が主流である。
電圧と電流の直線関係
 ⊿E=Rp・⊿I  →Rp:分極抵抗(⊿E/⊿I)
分極抵抗の基本式
 Icorr=K・1/Rp
 Icorr:腐食電流密度(単位A/cm2)
  K:金属の種類や環境条件によって異なる比例定数(単位V)
腐食電流密度から腐食速度への換算
 1μA/cm2→2.50mdd(mdd:mg/dm2/day)
 1μA/cm2→11.6×10-3(mm/年)

・自然電位法同様にコンクリート構造物が腐食劣化するまでの初期段階に有効。

□ 電気抵抗法
得られる情報・・・かぶりコンクリートの電気抵抗←腐食の進行のし易さ
鉄筋などの鋼材を取り巻くコンクリートの腐食環境因子の状況について診断するもの。

□ 湿潤養生
打込後一定期間コンクリートを湿潤状態に保つ養生。水和反応に必要な水を補給または維持するための養生方法であり、シートなどで覆う方法なども湿潤養生と言う。つまり水を供給しなくても水分の蒸発等を防ぐ養生方法も湿潤養生と言う。

□ 誘電率
気体、液体、固体を問わず絶縁性物質の持つ基本的な電気的定数
ε / ε0 = εr  (εr:比誘電率 ,ε:誘電率 ,ε0:真空の誘電率)
比誘電率は無次元量であり、用いる単位系によらず一定の値をとる。(参考) 空気:1,水:81,コンクリート:8


□ 電磁波速度
空気中:約30万km/s
V=3×10^8/√εr
V:速度,εr:比誘電率

□ フリーデル氏塩
セメント中の未水和のアルミン酸三石灰(C3A)と反応し固定された塩化物イオン。
フリーデル氏塩として固定される量はセメント中のC3Aの量に依存する。
フリーデル氏塩は鉄筋の腐食には関与しないが、中性化(炭酸化)が進行することによって分解され塩化物イオンが遊離されると鉄筋腐食の原因となる。

□ エトリンガイト
C3A・CaSO4・32H2O
エトリンガイトは、C3Aと石こうが反応し約227%の体積膨張を生じる針状結晶である。
一般に、凝結・硬化過程でのエトリンガイトの生成は特に問題とならないが、硬化後に硫酸塩等によりエトリンガイトが生成する場合はひび割れやスケーリングなどの劣化現象が生じる。

□ エントレインドエア
エントレンドエアは、独立した微細な気泡を混和剤など(AE剤など)により連行したもので50~500μ程度のものが多くピークは200μ程度である

□ エントラップトエア
コンクリート打ち込み時などに巻き込んだエアで1~数mm程度の比較的大きい気泡。

□ スケーリング
凍害により生じる劣化形態で、表面(ペースト部分)がフレーク状に剥離・剥落する現象

□ ポップアウト
コンクリート表層部に生じる現象で、低品質な骨材が破壊しクレータ状のくぼみを生じさせる現象。凍害などで生じる。

□ 中性化残り
鉄筋のかぶり厚さから中性化深さを引いた値
一般に、腐食開始時期は通常環境下で10mm,塩分環境下で25mmとされている。

□ 中性化
アルカリ分の溶出、または炭酸化によりpHが11.5以下になった状態。中性化深さの測定は1%フェノールフタレイン溶液を噴霧し、コンクリート表面から赤着色部までの距離を測定する

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